20200819 八海山

 こういう書きだしで、この間の渡辺新名人の復活劇を紹介しよう、というのが当初の構想だったのだが、数名の友人に将棋の基本を教えることになったので、計画変更。例によって、まとまった記事を書くのは大変なので、とりあえず書けるところから。

カードゲーマーのための将棋入門 おすすめ動画編

 プロの将棋を観戦したときにその凄さを理解したい、というモチベーションがあるということなので、まずは面白い動画(かつ将棋がわかるとさらに面白い動画)をいくつか紹介しよう。

 

 面白い将棋動画で真っ先に思いつくのがこれ。諸説あるが、個人的には渡辺名人が棋界で一番解説がうまいと思う。終盤の速度計算の基本を理解すると、より楽しめる。

 

 「伝説の▲5二銀」も有名だけど、とにかく米長永世棋聖の人間観察力がすごい。

 

 「角落ちはガチですから」。

 

 これまでに見たなかで最も印象に残っている将棋は、と問われたら、私はこの一局を挙げる。この将棋の持つ意味を語るには、対局者の抱える背景に触れなければならない。

 2017年度、当時の渡辺棋王は不調にあえいでいた。結果、プロ入り以来初の負け越しとなる21勝27敗。12月に自身の代名詞ともいえる竜王を失冠し、羽生に永世竜王の獲得、いわゆる「永世七冠」を許すと、2018年3月2日には順位戦でA級から陥落。唯一保持するタイトルである棋王戦も、3月20日の第4局で敗北を喫してカド番となり、「無冠」がちらつく。勝負は3月30日にもつれ込んだ。

 不調の原因はなにか。「堅い、攻めてる、切れない、勝ち」という言葉にも代表されるような、堅い玉形と細い攻めをつなぐ技術を軸にした渡辺棋王の棋風は、ゼロ年代後半からのトレンドを形成した一方で、コンピュータ将棋が台頭し、薄い玉形とバランスのとれた構えが隆盛する時代に合わなくなっていると評された。また、将棋ソフト不正使用疑惑騒動に関わるバッシングの影響も、ファンは見てとっていただろう。その渡辺棋王が、雁木の力戦形から51手目▲4八玉を着手する。右玉だ――。

 対する挑戦者は「努力」をモットーとする永瀬七段。当時、タイトル獲得こそ無かったもののレーティングではすでに全棋士中2位。初タイトルは時間の問題とみられていた。よりにもよってこの一局の解説は、そんな永瀬七段のライバル、佐々木勇気六段。

 この日、私は大学に出向いていた。時期的に授業はないので、なにかの手続きをするためだったのだろうと思う。用を済ませて、遅めの昼食をとるために寿司屋に入ったところで勝負が佳境を迎えたので、そこに釘付けになってしまった。日本酒を頼んで終局まで2時間くらいは居座ったのをよく覚えている。

永瀬とのエピソードを話し出したら止まらない勇気 - ニコニコ動画

才能と努力について語る勇気 - ニコニコ動画

 

 結局書いてしまった。今日はここまで。